
露地ろじ
天神の路地を折れ、戸をくぐると、苔と飛石の庭に出る。
INTRODUCTION
茶室の中に、入ったことはありますか。
いま私たちが飲んでいる抹茶は、八百年前、栄西が宋から持ち帰り、博多から広まったと伝えられています。そのとき始まった所作が、いまもこの街のどこかで、同じかたちのまま続いています。
けれど、その場に居合わせたことのある人は、驚くほど少ない。茶室は、普段は閉じている場所だからです。

この写真展は、その閉じた場所の記録です。茶道を紹介する催しではありません。流派の作法を解説する場でもない。福岡にいまも続いているものに、もう一度ピントを合わせる試みです。
SILENCE
茶室において、しずけさは演出ではなく前提です。釜の湯の音、袱紗のさばき、畳を擦る衣の音。そこにシャッター音が混じれば、その場の全員に伝わります。
α1の完全電子シャッターは、「撮ってよいが、存在してはいけない」という現場で唯一の選択肢でした。

光も足していません。茶室にあるのは、障子越しの拡散光と、にじり口から差す一条だけ。フラッシュを焚けば、その場の空気そのものが変わってしまいます。暗さを、暗いまま写しました。
短い文章を添えました。茶室の写真は、茶の湯を知らない方にとっては「暗い和室」でしかありません。文章があってはじめて、見えているものが分かります。
読みながら歩ける写真展です。会期中は、サイン入りポストカードを先着でお配りします(なくなり次第終了)。
PHOTOGRAPHER

柴垣 道宏
DOKO SHIBAGAKI
写真家・お香作家
福岡を拠点に、国内外を旅しながら撮影を続ける。キャンプ女子株式会社 代表。
自らも香をつくる作り手として、素材が人の手を通って物になる場所へ通ってきました。茶室では、炭点前で練香を焚きます。香と茶は、もともと隣り合っています。
本シリーズで、はじめて、旅先ではなく自分の住む街にレンズを向けました。
CHAPTERS
露地を歩いて茶室に入り、支度、炭火、点前、一服を経て、席が終わるまで。一度きりの時間が過ぎていく流れそのものを、展示の骨格にしました。
以下は、会場に実際に掛けている写真です。全36点、すべてA3(420×297mm)。1000mm角のパネルに、6枚ずつ並んでいます。

天神の路地を折れ、戸をくぐると、苔と飛石の庭に出る。

客が来る前から、茶は始まっている。

湯は、炭で沸かす。電気も、ガスも使わない。

道具はすでに清めてある。それでも、客の前でもう一度清める。

一服とは、茶碗ひとつ分の茶のこと。

長押の額に「後幸軒」。禅語の前後際断から採られた名。











SWIPE →
TALK EVENT
このトークショーは、お茶を習ったことがなくても大丈夫です。正座もありません。

茶道を四十年続けてこられた先生をお招きし、「なぜ今、茶を学ぶといいのか」をうかがいます。四十年で変わったこと、四十年変わらなかったこと。そして、いま本当に失われかけているものの話を。
そのあと少しだけ、撮影の話を。暗い場所で、フラッシュを使わずにフィルムのような階調を残すには、どうするか。実際の設定値もそのままお見せします。
終演後、椅子席でお茶を一服さしあげます。作法は要りません。
ご予約なしでも、立ち見でご参加いただけます(途中からでもどうぞ)。お席とお茶は、事前にご予約いただいた15名様に限らせていただきます。
SPEAKER
前原 景子KEIKO MAEHARA
表流茶道教室 後幸軒 主
福岡・天神で四十年、茶を教えている。木曜と土曜、月に三度の稽古を続けている。
INFORMATION
RESERVE
一服、ご一緒に。
2026.9.13 SUN 14:00 — 15:00
SEATS & TEA — 15 ONLY
ご予約はこちらご予約なしでも、立ち見でご参加いただけます(途中からでもどうぞ)。
お席とお茶は、事前にご予約いただいた15名様に限らせていただきます。
写真展のみのご来場は、予約不要・入場無料です。
LEARN
後幸軒(福岡・天神)。表流の茶道教室です。
前原景子先生が、四十年教えています。会場から歩いて数分の場所にあります。
写真を見て、実際に一服してみたいと思われたなら、「お茶体験」があります。
お客さまとしてお菓子とお抹茶を差し上げ、お茶室と露地をご案内します。
習うことをお考えの方は、ふだんのお稽古をその場でご覧いただけます。
日程と費用は、後幸軒のページに記載しています。